つぶやき・レンタルスタジオ
先日沖縄に出張に行った際、ホテルの近くにレンタルスタジオがあったので、そこで1時間ばかり練習してきた。出張中はピアノの練習ができないので、こいぬさんのブログにヒントを得て、実行したというわけだ。
同僚との食事を断り、あらかじめ電話で予約しておいたスタジオに向かう。
・・・ん![]()
指定された場所はアパートの一室。一見普通の住宅のようだ。ドアには表札が掛かっており、しかもドアの前には植木鉢とゴミ箱がさん然と整然と、いや雑然と並べられている。
大丈夫か
?
意を決してドアを開ける。靴脱ぎがあり、いかにも一般家庭の趣味の悪い玄関といった感じだ。これが沖縄式レンタルスタジオか?
いや待て。オイラにとってレンタルスタジオは初めての経験。もしやこれが全国共通のスタイルなのかもしれない。
「すみませ~ん」と奥に声をかける。レンタルスタジオに来たというよりも新聞の勧誘に来た感じだ。すぐに口に食べ物を入れたままのオジサンが登場。
「モグモグ・・・、あの、ドアホン、鳴らして頂けましたか?」
「は?
」
「ドアホンです、ドアホン・・・モグモグ。ゴックン!」
・・・・・・
しばし沈黙が続く。
東京のヲヂサンと沖縄のオジサンが見つめ合うが、愛が芽生えることはない。
「それじゃー早速スタジオに行きましょう」
やはりここは一般家庭だったようで少し安心した。レンタルスタジオはこのアパートの上にあり、ここは管理人の自宅だったのである。
2重扉を開けてスタジオに入る。この広いスタジオが1時間オイラの貸切かと思うと、思わず緊張が走る。アップライトピアノに近づき、厳かに腰を下ろす。気分は既に稀代の不世出の幻のピアニストだ。
本日の演目は・・・「バイエル第74番」![]()
以外に大きな生ピアノの音にビックリし、思わず周りを見回す![]()
まずい、まずいぞ
!
オイラのこのヘタクソな演奏に、この部屋は大き過ぎる。立派過ぎる。そしてピアノが響き過ぎる。誰も聞いていないだろうな、と再度周囲を確認し、恐る恐る鍵盤を叩く。むむ、こういう事態になるのだったら、事前に都内のレンタルスタジオにでも行って練習しておくべきだったなと激しく後悔する。
誰も立ち聞きしていないのを確認し、また鍵盤を叩く。誰かの視線を感じた気がして後ろを振り向く。演奏を中断し、出入り口のドアを確認する。「ひょっとしてピアノの中に誰かがいるのでは?」という疑惑が沸き起こり、ピアノを仔細に点検する。ピアノに異常がないことを確認し、再び鍵盤を叩く。ダメだ。情けないほど下手過ぎる![]()
本当に誰も聞いてないのか?もしやどこかに隠しカメラと隠しマイクがあって、さっきの管理人が食事をしながらオイラの様子を観察しているのではないか。家族団欒のひととき、このオイラをみんなで笑いものにしているのでは、という疑念が激しく沸き起こる。
おにょれ~、家族団欒の慰みものにされてたまるか
!
隠しカメラを探しているうちに30分が経過していることに気がつく。これではピアノを弾きにきたのか、探し物に来たのか、はたまた笑われにきたのかわからないではないか。
気を取り直し、周囲に注意を払いつつ、再び鍵盤に向かう。
本日の演目は・・・「バイエル第74番」![]()
待て
!
まだ指慣らしをしてないではないか。それになんだかいやに肩が凝っている。レンタルスタジオと生ピアノは想像以上にストレスを強いるものだと気がつく。
一度立ち上がり、深呼吸をする。肩をグルグル回し、ひざの屈伸運動の後、上体を前後に倒す(前後屈)。その弾みで、胸ポケットに入れておいたケータイを落としてしまう。
購入後8ヶ月、まだ一回も落としてないのにぃ・・・![]()
急いでケータイを拾い、傷がついてないか仔細にチェックする。ふと時計を見ると残り15分になっていることに気がつき、慌てて鍵盤に向かう。
15分後。
「時間です。お疲れ様でした」と先ほどのオジサンが登場。オジサンに料金を払いスタジオを出る。
「家族で十分楽しませてもらいましたよ
またどうぞ~
」と言われているような気がしてならない。
ぐったり疲れた体を引きずり、コンビニで夕食を買い込み、ホテルに向かった。
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